195話「アンタ、凧次郎さんとこの…」
以前、陸自の防衛館を見学させていただいたことがあった。
そこで八甲田山遭難事件の資料も見せていただいたのだが、その中に捜索に駆り出されたアイヌ民族の方達の写真があった。村長の名前は凧次郎さん。
もしやこの中にアリコが!?と一瞬思ったが、彼らは函館から来たアイヌ民族だそうで、残念ながらこの中にアリコがいるはずはないのだ(あたりまえだ)
そんな妄想は置いといても、菊田特務曹長の言う通り、捜索に駆り出されたアイヌ民族は、地元の人間ですら困難な沢などの捜索に大活躍したと聞いた。
ここで八甲田山遭難事件を掻い摘んで説明すると、日露戦争に備えての雪中訓練を冬の八甲田山で行った。
弘前の第八師団で構成された部隊と、青森市、秋田、宮城などから招集された部隊とで、それぞれ別々に出発。
遭難した第五連隊は出発一週間前に急遽隊長が変更。理由は本来隊長を務めるはずの人物の嫁が産気づいたためと聞いた。
ざっくり言うと、遭難した部隊は準備が足りなかったこと、地元の村民が案内役を買って出たのを断った、などの理由で遭難事故にあった。というのは映画などでも有名な話なのでここでは割愛する。
まあ、そんな装備で大丈夫か?
という状態で出向いてしまったわけだが、その事故を踏まえて軍用の冬用コートの素材がカシミヤだったか今までよりも良いものに変わったりと、雪山なめちゃいかん、という意識改変に繋がったと思いたい。
実際に昔、冬の八甲田山へ行ったことがある。
八甲田牛のステーキ目当てに、ついでにスノボでもしようぜという軽い気持ちで行ったのだが、八甲田牛のステーキは販売されておらず、仕方なしにスノボに興じた。
だがあまりの寒さと、コース(と言えるものなのか)の難易度の高さに、3回滑ってもう二度と来るかと帰った思い出。
幅3mもないカーブには柵もなにもなく、もし落ちたら登ってくることは絶対不可能な崖下へと続いている。
加えてリフトの柱には、行方不明者捜索中のチラシが貼られていた。
呑気にスノボなんて滑る場所じゃない。ここはただの雪山だ。
きっと雪中行軍部隊も似たようなことを思ったに違いない。こんなでかい釜なんて抱えてくる場所じゃないと。
話が逸れすぎてもう感想でもなんでもなくなってしまったが、雪山はそれだけ厳しく、雪山に詳しい、または慣れている猛者でなければ圧倒的に不利なフィールドだということ。
雪崩をわざと誘発させるのも、雪山を知り尽くしていないとできない技だ(なんかの漫画でも見た気がするけど思い出せない)
しかし菊田特務曹長が何者なのかもまだわからないまま、底意地の悪さだけが週を追うごとに露わになっていくな。
それなのに、あの純粋無垢そうなアリコが付き従えているのはなぜなんだろう。
軍人だから上官に付き従うのはあたりまえだけど、敵の死体から銃を集めさせたりといったことになんの疑問や疑念も抱いていないのか。ということが気になる。
これたぶん先週も言ったけど、氷筍、うちの玄関にもできてたわ…って、北海道でも限られた土地でしか見かけないって、うちの玄関は北海道の一部かよ。どんだけ劣悪な環境に住んでんだ、本州なのに。