196話「尾形、どうなってしまうんだ」
近所にモスがあるので明日の昼食はモスにしよう。
そんなことはどうでもいいんだが、尾形すっかり唇まで干からびちゃって。干し芋みたいな唇になっちゃってさ。
いやそれにしても。
尾形の命あってこそリパさんは罪を抱えなくていいのはわかるんだが、もう尾形の人生なんだったんだってなるじゃん?
本誌連載が休みの間に新刊を読んで杉元と尾形のリパさんに対する描写が真逆なことに気づいたんだよ。まあしたらばの受け売りなんだけどな。
それで杉元と尾形は人間の善と悪の対比のような存在なんじゃないかと思ったのよ。
人間には善も悪も備わってる。善だけじゃ人は生きづらい。だから悪の部分があっても、それを咎めることはしなくていい。両方持ち合わせてこその人間であり、それをどう使うか、表に出していい時なのかそうでないのかを精査できるのが人間の理性なんだと。そういう象徴であると思った。
でもさ、もう尾形の役割って一個人のエゴで命を決められてるような状況じゃない?今。
人間ってこの世に生を受けることに関して、自分の意思が一切関与できないエグいものだと思う。
勝手に生まれ落ちて、その先を選べなくて、生まれ落ちた先で人生が決まってしまう人だっている。
そういう博打に強制参加させられて、その先の命の采配さえも他人のエゴに任されてしまっている、尾形は今。
まあ尾形がやったことを考えれば当然かもしれない。けどそうなってしまった状況を生んだのは、出自が少なくとも関わっているのではないか。
尾形は不殺の信条の当て馬なのか。
この先尾形が助かって喋ることができて、そこで何を話すのか。聴き終えたらもう尾形の命の価値はなくなってしまうよな。
不遇すぎるな、どこまでも。この男は。
またもや人生って、救いがねぇなあと思ってしまった。
尾形に肩入れしてるからこんなことを思ってしまうんだろうけど。サトルは尾形をどういう立ち位置にしたいんだろうか。
鶴見中尉が動き出したし、尾形も引き渡されてジ・エンドなのか。この漫画での尾形の役割はなんだったのだろうか。「天から役目なしに下ろされたものはない」がこの漫画のテーマなら、尾形の役割はなんだったんだろうか。自分の価値や考えを確かめるために殺してばかりきた男の役目とは・・・。
銃が海水に落ちた時点で役目は終わったってことを意味してたのかな。それとも役目のない人間もいるって意味にされるのだろうか。うーん、そしたらやっぱ人生ってクソだなと思ってしまうわ。
まあ尾形がロクでもない死に方するのは覚悟してるけど。
誰にも愛されず、救われずに終わる。
現実とリンクしてしまってとてもつらい。
明日モスで豪遊しよ。