どぶろく

ゴールデンカムイの感想を毎週木曜日に更新しています。

212話「送り狼」

表紙が、飲み会のあとに酔いつぶれた女の子に向ける顔とセリフや!と思ってしまいましたこんばんは。
私は酔いつぶれるとタクシーにぶち込まれて終わりです。帰巣本能がしっかりしてるのか、どんなに酩酊状態であろうとも、絶対に家に帰るよねと褒められたこともあります。

そんな私の泥酔エピソードはどうでもいい。
なんなんだよあのチートスキルは。
サウナの回でもバーサクしてたけど、髪の毛が立つなんて前兆あった?マフラーは逆立ってたけど。
家永は会頭手術の時に何をしたんだ。毛根に繋がる何かまでいじったのか?
余談だが、バーサク杉元のように理性が効かなくなる症状(と言っていいのか)おそらく、鶴見と同じで前頭葉と呼ばれる理性を制御する部分が欠損したことにより、アシリパトリガーで脆くなった前頭葉の機能が杉元の感情をむき出しにしてしまうのではないか。
本来、杉元は日露戦争で見せた鬼神のごとき活躍をする獰猛な男だった。
親友の死や梅ちゃんとの思い出を機に、戦争に行く前の自分に戻りたい。という思い、アシリパに故郷を見せたいという希望が彼の獰猛な部分を理性で落ち着かせていた。本人もそう願っていた。
杉元が不死身の杉元を口にする時は、局地を乗り越えなければならない時であり、人を殺すために鼓舞するものではなかった。

だが今回、アシリパトリガーが発動してしまった。いち早く異変に気づいた月島。真っ先に杉元を捕らえようと独断で近づいた鯉登。
「昨日までは聞いてくれていたのに」
そう、昨日までの鯉登は知らなかったから。疑心などまったくなく、これまで仕えてきた従順な鯉登ではないのだ。
それとも鯉登は我先にと死に急ぎたかったのか。無意識の中で、身を投げ出したいという衝動に駆られてしまったのか、
生きるも地獄、これまでの人生も地獄の上の駒であった鯉登は、今や自ら欲した首輪に不信感を抱きつつあるのではないか。

そして最後に見せた鶴見と月島のアイコンタクト。
「喋ったのか」
「ええ」
と勝手な吹き出しを追加したくなる。
すべて思い通りに演じていた演者がアドリブで動いた。この、観客には滞りなく進んでいるように見える舞台でも、脚本家には大きな指針変更となるやもしれない独断行動。

杉元は、もう誰にも止めることのできない獣へなることを選んだ。
故郷に戻り、干し柿を食べることができなくても、アイヌの少女とともに、彼もまたアイヌ活劇を一番近くで、はたまた舞台袖から見たい一人なのかもしれない。

たしか公式で月島のことを「第七師団の良心」の二つ名で紹介していたものがあった、気がする…(公式だったか二次創作だったか曖昧になってる)
良心などてはない。
いや、ある側面から見れば良心ともとれるかもしれない。月のような良心なのだ。ある場所から見れば不敵に微笑む三日月のように見えるが、別な場所からは満月に見える。
同じ月でも、見る者によって存在が恐怖にもなり良心的にもなる。
良心的な部分は、鯉登に顛末を話しながらも、彼の身を案じている部分。だがそれも、鶴見劇場の大事なキャストだからだろうか。
月島は演出家として、鶴見のシナリオに支障が出ぬよう、最高の物語をこの目にするために、それがこの何もかも失った人生で唯一の娯楽であるかのように。
これほどの狂気、そうそう間近で見られるものじゃないからね。
狂気と美しさは似ている。
恐ろしく研ぎ澄まされ完成された狂気は、奇跡や芸術のようだ。誰にでもできるものではない、凡人がどんなに手を伸ばしても得られないもの。常に先を歩く美しい狂気に寄り添う影のような存在。その月島もまた、狂気に目を見開き後ろに立つことができる、恐ろしい人間なのかと。

だんだんた、それぞれの皮膚の内側が見えてきた気がする。その下に流れる血を、隆起する肉が、どんな顔で潜んでいたのかが。
本性をむき出しにしなければならないほど、薄ら笑いでごまかせる人間達ではないのが、ゴールデンカムイだ。

ところで宇佐美、やっぱべらぼうに強いんだよな。体術戦が得意なのかな。バックドロップされてる時の顔がおもしろかった。