前回おしらせした通り、毎週更新はやめ、とりあえず樺太編からの振り返りをしていく。
単行本巻数でいうと14巻139話~15巻148話まで。いやほんとうは16巻まで書けるかなと思ってたんだけど、148話ですでに文字数が3000字を超えたのでここまでにしとこうかと。
それでもだいぶ飛ばして書いてるからね?
てかそりゃそうなんだよ。毎週1話1000~2000文字で書いてるんだから。10話で3000文字で済んでるの、いつもよりアクセル踏んでるからね?(ふざけたことを極力書いていないのでエコではある)
考査や感想というより、これまでの経緯をまとめた自分のための備忘録のような内容になる。感想は散々毎週書いてきたので。
まず網走監獄編を終え、キャラクターは三つのグループに分かれた。
土方、門倉、牛山、夏太郎(その後キラウシが追加)の土方チーム。
樺太編からの主軸となる、
キロランケ、尾形、アシリパ、白石のキロランケチーム。
キロランケチームを追うために鶴見中尉から選抜された、
月島、鯉登、杉元、谷垣withチカパシ&リュウの先遣隊チーム。
まず土方チーム。
教誨堂の地下を発見した土方。そこには犬童典獄の隠し部屋が。犬童典獄が土方をおびき出す餌として、刺青をもつ囚人の情報をたくさん得ていた。だがゾッとする牛山。
それもそのはず、オタクの部屋の壁と見紛うような手描き?の土方イラスト(犬童が描いたかどうかは不明だが。犬童が描いたんだろうな。人に描かせたら引かれるもんな。絵、うまいな。イヌドゥ・・・)それに加え土方の情報までも年表式で事細かに記してある。どんだけ好きなんや。過度の憎しみは対象への執着心となる。
ここで改めて読んで気づいたのが、門倉の名前が「タヌキ」と書かれている。犬童、土方以外にまったく興味なしとの証拠である。
「あいつ・・・下の名前なんだっけ?タヌキでいっか」
土方以外のことには、極端にいい加減な犬童であった。
そして、意外な収穫を得た土方チームは網走から南へ向かおうとする。
なぜ南へ?みんな北に向かってるんだけど。
一方その頃、キロランケチーム。
キロランケと尾形は何やらきな臭い話をしている。
ここで!この二人が初めて会話をしている描写が出てくるのだ。逆に言うと、読者がキロランケと尾形にはなんの接点もないと思っていた。だって会話が一切なかったんだもの。
だから12巻116話、ラッコ鍋回でアシリパがキロランケに「キロランケニシパがアチャを殺したの?」と聞いたシーン。あの時、証拠を差し出しさらにキロランケがウイルク殺しの犯人だと問い詰めたインカラマッに対し、尾形は「こいつは鶴見中尉と通じているぞ」と銃を向けた。
この尾形の発言で、キロランケへの疑惑が薄まった。そして尾形はインカラマッと鶴見の関係性について言及する。
今思うとこの流れは、尾形がキロランケへの疑惑から皆の目を逸らしたのではないかとも考えられる。
尾形がインカラマッを庇った谷垣を問い詰めたことと、キロランケとの接点がそれまでなかったことから、尾形がキロランケを庇ったなどとは微塵も考えなかった。
私はサトルの巧みなストーリー構成に、まんまと本懐を逸らされていたのだ。キロランケがここでウイルクを殺したと誤解されるのは、これからキロランケに加担する尾形にとっても不都合だったのだ。この時点で二人が共同戦線を張っていたことを示唆していたのかもしれない。
ただ、結局指紋は検出されたがウイルクは生きていた。
インカラマッの言った指紋の件は、単なるカマかけだったのだろうか・・・。
話は戻って、この二人きりでの会話で、尾形はキロランケがテロリストであったとを知っていることがわかる。つまりキロランケの意図を理解していることが窺われる(同意しているかどうかは不明)
そしてインカラマッの言うように、キロランケの指示でウイルくを撃ったこともわかる。しかしキロランケは尾形に杉元を撃つことまでは指示していない。それがわかるのは「杉元まで撃つ必要があったのか」の台詞だ。
それについて尾形は、ウイルクが杉元に金塊の鍵を話している可能性があったから撃ったと話す。だが弾は殺傷性のあるものでもなく、杉元が咄嗟にウイルクを盾にしたので、まだ生きているかもしれないと不敵な笑みを見せる。
尾形は、自分の意思か誰かの指示かは不明だが、金塊の鍵が他の人間に知られることを防ぐ必要があったことがわかる。
そしてキロランケと尾形は、唯一金塊の鍵を知っているはずの
アシリパを樺太まで連れ出し、ウイルクの足跡を追うことで記憶の中にあるはずの鍵を引き出そうとする。
この時点でキロランケと尾形は、結託して金塊を見つけよう、他のチームを出し抜こうとしている。ここでなぜ尾形がキロランケに協力的なのかはわからない。
そして、そのキロランケチームを追うのが、先遣隊チームだ。
鯉登の父の協力で、駆逐艦雷で樺太の玄関口「大泊」に渡る。(こんなことに海軍の戦艦を使用していいのか)
大泊にてアシリパの聞き込み調査をする中、アイヌの少女に出会う。樺太アイヌの少女はエノノカ。彼女はアシリパに会ったという。
早速有力な情報を得た先遣隊チームは、エノノカと犬ぞり交渉をし、さらに聞き込みを開始する。
そしてスチェンカという、ロシア独特の賭け格闘にて刺青の囚人、岩息とやり合う。岩息の刺青の写しを手に入れ、先遣隊チームが手にした刺青人皮は13枚となった(プラス偽物5枚)
個人的に上半身裸に軍用コートを羽織った鯉登がかっこよかった。さながら仮面の貴公子を思い出させる、男臭い格闘場の中においても気品の高さは譲らない姿勢。薩摩の貴公子。
あとあまり気づいてる人がいなくて悲しかったんだけど、岩息さんのあれ、ザンギエフのダブルラリアットじゃん!!!うおおお!!さすがロシア!!!(まだロシアじゃない)
ザンギエフと言えば、エンディングでゴルバチョフらしき人が出てくるのが、今では考えられない演出だったことを思い出した。死ぬほど今はどうでもいい話だけども。ていうかさっきからなんでストツーの話になってんだろ。おかげでどんどん文字数が増えていくぜ。まだ15巻の中盤だってのに。
さて、物語はキロランケチームに戻る。
キロランケは狐の飼育場にかつてウイルクの生まれた村があったとアシリパに語った。
ではその村や村人たちはどこへ行ったのかの疑問をアシリパはキロランケに投げかける。
その答えは社会の授業でもやった「千島樺太条約」である。
元々樺太はどこの国の領土でもなかった、しかし「千島樺太条約」によって、千島を日本領にする代わりに、樺太はロシア領土となった。
樺太に住んでいた和人(日本人)は、撤退を強いられた。しかし、漁業で親交のあった樺太南部沿岸に住んでいたアイヌ人には、日本かロシア、どちらの国籍を名乗るかの選択そ与えた。
ウイルクは母親が樺太アイヌであったが、父親がポーランド人であったため、北海道には渡れず樺太に残った。だが北海道に渡ったアイヌのほとんどが伝染病で亡くなり、ウイルクの村には北海道に渡った者は誰ひとり戻ってこなかった。
この経験が、おそらくウイルクの中で革命の火種になったのではないかというようなことを、キロランケはアシリパに語る。
戦争が、日本とロシアの領土争いが、無関係な樺太アイヌの民族を振り回しすりつぶした。とキロランケは語る。
ではなぜウイルクは金塊を独り占めしようとしたのか。当然アシリパはそこに疑問を抱く。キロランケはその答えがこれから行く樺太の旅にあると諭すのだった。
ここで歴史の授業で必ず出てくる「樺太千島交換条約」。あえて説明するまでもないと思うが、さらっとおさらい的な意味で書いておく。このために押入れから社会の教科書を引っ張り出してきた。(どうでもいい)
そもそもアジアは国境に対しては、国際的に無頓着だった。ここで日本は、近代的な国際関係にならおうと国境線を定めようとする。そうして領土問題に本腰をあげた。
樺太は幕末にロシアと結んだ条約でも、どちらの領土かは不明瞭だった。それが1875年(明治8年)の樺太千島交換条約により、ロシアは樺太の領土を得た。日本は千島列島を得たが、それからもロシアとの国境問題は日本政府にとって悩ましい問題となっていく。
それにより、政府は屯田兵をもちいて蝦夷地を北海道に改め開拓を進めていった。
しかし開拓により、先住民であるアイヌ民族は土地や漁場を奪われる形となった。これまで過去二回、アイヌは漁場や交易などの権利で和人と戦争を起こしたが、どれも敗北している。
そしてこの開拓では土地や漁場だけではなく、アイヌ民族の伝統や文化なども否定する政策まで勧められたのだ。
いわば、キロランケが言った、樺太千島条約だけではなく、アイヌ民族は北海道南部でも危機に貧していたのだ。
ここでまた尾形はキロランケと密談する。
アシリパがこちらにいる限り、刺青の有無を問わず金塊は誰の手にも渡らない。そのことを尾形はキロランケに確認していた。
まーったく目的の見えない尾形の中では、他の人間に金塊を見つけられることを警戒しているように思える。ならばキロランケに協力して、他の人間を出し抜こうとしているのか。
尾形の目的は金塊を手に入れることではなく、手に入れさせないことのようにも思える。
と、ここまででもう3000文字を超えてしまったので、一旦締める。
次回は15巻149話のいご草ちゃん回から振り返るので、よろしくお願いします。