「尾形、おまえ何がしたいんや」リターンズ
181話から187話まで、ずっとこのタイトルで毎週ゴールデンカムイの感想を綴ってきたこのブログ。
なぜなら私は尾形贔屓だからだ。推しと呼ぶにはあまりに私は尾形に陶酔している。尾形の女になりたいだとかそういう気持ちでもない。むしろ現実に存在していたら関わり合いになりたくないとさえ思う。だって何話していいかわからないじゃん。共通の話題で盛り上がるだとか、想像できないもの。
端的に言えば、尾形に自分を重ねている部分があるので、応援したくなる。これにつきると思う。すごーくざっくり言えば。
なので、連載が更新されるたびに、尾形の動向や思考について憶測を述べてきた。
だって、尾形の金塊争奪戦の目的があまりに不明瞭だから。
唯一、尾形だけが金塊探しの目的がはっきりしていない。ほんと何したいんだこいつは。まじでわからん。
という疑問に頭をもたげた結果、始めたブログだったが、188話で頑なに尾形が何をしたいのかについて語るためのタイトルを変更せざるを得ない展開となる。
ここで尾形の目的に終止符が打たれたように思えた。結局なんだったのか、はっきりしないまま。
鶴見や土方のように、大金を得て何かを成し遂げようとする大義もない。だがどうやら金塊は欲しかったようだ。必死だった。口下手なくせに、コミュ障の私が見ていられないくらいに、話せば話すほどボロがでてくる。まさに共感性羞恥。
だが、今週号を読んでふと思ったのだ。
もしかして、これ、わざとじゃね?
仮に、ヴァシリを懐柔していたとしよう。
そうでなくても、尾形はキロランケたちに「聞き出してくる」と言って、ひとりでヴァシリとの対決に挑んだ。たしかに狙撃の名手であるヴァシリとの戦いに、狙撃手以外の人間がついていったとしたら、逆に足でまといになる。そいつが撃たれたらそっちに気をとられてしまうから。
もしあの時点で、誰かが「心配だからついていく」と言っても、上記のような理由で断っただろう。それがほんとうの理由でなかろうが。
つまり尾形があの時点で、ヴァシリからなぜ自分たちを狙ったのか、その情報は誰から聞いたのかを聞き出すという名目で狙撃対決をしにいったわけではなかったら。
はじめから、ロシア人の協力者を得るためだったとしたら。
そこまで頭の切れる男が、少女相手にあんなつつけばすぐボロが出るような会話をするだろうか。そもそもこれまでの尾形のイメージは、寡黙だが、口八丁で他人を懐柔し渡り歩いてきた。土方でもそう、キロランケでも。しかも尾形はキロランケの秘密を知っているような口ぶりだった。
つまり何が言いたいかというと、尾形はあえてアシリパに矛盾点を突っ込ませるよう仕向けたのではないか。
それはなぜか。
時間稼ぎをするために。
杉元が近くまで来ていることを悟った尾形が、アシリパが自分に矢を向けている瞬間に、杉元を立ち会わせるための時間稼ぎだったのではと。
ではなぜそんな行動にでたのか。
ここがまだちょっとわからない。もしかしたら尾形は、アシリパは自分を絶対に殺さないという確信があったのかもしれない。それか父親を殺したという動機を与えることで、アシリパの不殺の信条を壊したかった。その瞬間を杉元に見せることで、証人にさせたかった。アシリパが不殺であることを誰よりも望む杉元に。
そうだとしたらかなりエグいので、これはもうほんとうに私の妄言だと思ってくれ。
ただ、尾形の周到さを考えると、どうしてもアシリパに金塊の鍵を聞き出す際の要領の悪さが引っかかる。
だって、鯉登少年誘拐事件を想起させるような発言をした男だよ?
あの不敵な三人組(誘拐犯)のひとりが尾形だと確定する描写はないが、鯉登は二度も同じロシア語を浴びせられたことにより、思い出す。あれはもしや尾形だったのではないかと。
そういう、ちょっとした一言で、疑惑を誘発させることのできる男なんだよ、尾形は。あ、まだ誘拐犯が尾形と確定したわけじゃないけど。
でも鯉登のあの表情からして、何か思うところはあっただろう。なぜあの時、陸軍兵士が自分を誘拐したのだろうと。そもそも誘拐犯はロシア人だと、それまで疑いもしなかった。だが、誘拐犯が自分に放った言葉と、同じ言葉を尾形はあえてロシア語で鯉登に投げた。しかもその言葉の意味は、金持ちを揶揄する言葉だ。
アニメではっきりしたことなので原作ではどうかわからないが、尾形は鯉登に対して「ボンボン」と陰口を叩いていたことを鯉登は知っている(鯉登の早口薩摩弁に字幕がついたためにわかったことだが)
もし原作の設定でも(これから回想シーンででるかもしれない)鯉登に対し「ボンボン」と陰口をたたいている描写があれば、その言葉に鯉登は確実に鶴見への疑惑を抱かざるを得ないだろう。鯉登とて考えたくはないだろうが。
あれだけの忠誠を誓う発端となった誘拐事件が、まさかそう仕向けるための鶴見本人による偽装だったとしたら。
尾形は当時、鶴見の元で協力的に動いていたが、数年後に爆発するような時限爆弾を仕掛けたようなものだ、鯉登に。
自分の命を助けてくれた恩人が、そう思わせるための誘拐事件を仕組んでいた張本人だったとしたら。恩人だと信じている時間が、年数が、長ければ長いほど、鶴見に対する信頼は高く積み上がっていく。積み上げられた信頼が高くなればなるほど、それが崩れた時、どうなるのか。
あえて、高く高く積み上げられた頃合いを見計らって、亀裂を入れることを尾形が最初から狙っていたら。もう賽の河原の鬼じゃねーか。
もしここまでの私の妄想がほんとうだとしたら、尾形は鶴見と鯉登の間に真実を噛ませ、内部分裂を狙っているのか。はたまた鶴見という男を今の立場から引きずり下ろしたいのか。
それは個人的な恨みからなのか。それとも誰かの命令で動いているのか。
でも誰かの命令で動いているとしたら、他に協力者がもっと前から同行しててもいいものなのだが。やはりスパイなので単独行動の方がリスク回避になるのか。
ちょっとここにきて、また尾形の目的がなんなのかがすごく気になってきたのだ。
一時はもう尾形リタイアかとまで言われたが、ずいぶんお元気そうで、まだまだ役目がありそうだし、キーマンになり得る可能性もでてきた。
ここまで尾形に対して地球の反対側にまで届きそうなくらい掘り下げて、むしろおまえ自身、何がしたいんやと突っ込まれそうな妄言たっぷりの内容だ。
そういうのは二次創作でどうぞ。と言われても仕方のない、飛躍しすぎた尾形に対する妄想劇でした。(なんだこの結び方)
しょうもないついでに、先週の、騎乗で両手離しという、イキった中学生が自転車でやりそうなことをしたために、あちこちで(?)麻酔でラリってる説が浮上したので、その後落馬したと私は思っている。
201話「尾形、嬉しい濡れ衣」
やっぱり生きていやがった!
したらばでヴァシリはもう死んでるとか言ったやつ、私に謝れ!(暴君)
いや、謝らなくてもいいけど(当然だ)、ヴァシリ、白石たちを狙う必要ある?
ヴァシリ一行の目的は、国境を越えようとする元テロリスト、キロランケを捕縛なり殺すなりすることだった。
なぜなら彼らはウイルクとキロランケの手配書を持っていたから。
そしてキロランケ亡き今、双眼鏡でキロランケの有無を確認していながらも、狙撃してきた。わざわざ白石の足を狙い、助けにくる人間をも狙撃する手段で。
ヴァシリは、この杉元一行を無作為に、もしくは全員狙っているのか。なぜ。
あの描写ではおそらくヴァシリの単独行動だろう。それならばあれほど腕のいい狙撃手として対抗心を燃やし、執着しすぎたことが仇になって敗北した尾形一人が、復讐目的でヴァシリの対象になるのはわかる。
だが今回の話から読み取れる限りでは、そうではない。ヴァシリの標的の中にはキロランケも尾形もいない。それか、キロランケと尾形と行動を共にしていた、アシリパと白石がいたことで、居場所を聞き出そうとしてのことなのか。
もう一つ考えられるのは、これはあくまで私の超曲解した想像なのだが、顎を撃ち抜いた時点で、尾形はヴァシリから情報を聞き出すつもりはなかった。端から話し合いなどする気もなく、顎を撃ち抜き喋ることを封じたのは、尾形の条件を呑むしかない状況を作り出すためだったのではないか。
そうなると考えられるのは、尾形がヴァシリを配下に引き入れている可能性だ。
ほぼ裸で脱走した心もとないはずの尾形が、なぜあそこまで余裕しゃくしゃくでいられたのか。ただ逃げる機会を伺って、タイミングがあったから逃げ出した。偶然チャンスがあったから逃げた。とは考えにくい。だって尾形だもの。
そうなると、尾形には脱走後に協力してくれる仲間がいる可能性もある。もしやそれは敢えて殺した描写がなかったヴァシリではないか…。と、199話で想像してたのだが、協力関係にあるとは限らずも、はやりヴァシリはまだ生きていた。
尾形に顎(頬か?)を撃ち抜かれた時、彼は一体何を言われたのだろう。ヴァシリは尾形がロシア語を話せることに驚いただろう。そうなると、ヴァシリの尾形の見方だって変わる。こいつはただの日本の狙撃手ではないと。
そして先週の鯉登回想。
奇しくも少年時代に誘拐された際に、犯人に吐かれた台詞と同じことを尾形が口にしたことで、鯉登の中に疑惑が生まれる。
もしもあの時の誘拐犯が尾形だとしたら。当時はまだ尾形は造反していなかった。確実に帝国陸軍の人間だった。それがロシア人の振りをして自分を誘拐したということはどういうことなのか。ボンボンと揶揄されたおぼっちゃんでも、一応士官学校卒の少尉だ。
それぐらい察しがついてもおかしくはないだろう。
緊急時にも関わらず前髪を直してたけど…。
ここで私の妄想を整理すると、
尾形ー逃亡中。
ヴァシリー生きてた。杉元一行を狙う理由が不明。単独行動と思われる。頬は治療済み。両頬を銃弾貫通という割と重症なので、尾形と同じ医者に診てもらった可能性もなくはない。そうなると、尾形の脱走もかなり成功率は上がる。なんせ医者に事前に話をつけておくことも可能だから。
ここまでだけを踏まえると、尾形はロシア側について何かを企んでいるのかもしれない。
アシリパにしつこく不器用に刺青の暗号の鍵を聞いたのも、尾形にも金塊を手に入れる必要があったから。
でもそれは尾形個人で使うとは考えにくい。
ここに鶴見中尉が鯉登を陸軍に入隊させた意味が絡んでくると、ますます話が複雑になり、三つ巴の金塊強奪戦どころではない気もしてくる。
尾形がヴァシリと共闘しているのかはまだはっきりとわからないが、尾形にはロシア側に協力者がいてもおかしくはない状況に思える。
ってかんじで、今回はヴァシリ再登場で私の妄想を書き散らすだけの回でした。
もちろん、おばあちゃんの唾液には何が含まれているのかも気になるところではある。
なんだろ。ある一定の年齢に達した女性から唾液腺を通しなんらかの旨味成分が出ているのだろうか。
ちょっとこれは、話が科捜研みたいになってくるのでリッツパーティーでもしながら考えましょう。
おばあちゃんの唾液サンプル、持ってきて!
200話「ボヘミアン尾プソディ」(追記と加筆あり)
エーオッ!!
とりあえず頭の中がフレディーマーキュリーです。
ボヘミアンラプソディを観てないし、フレディのこともよく知らない私がこんなことを言うのもアレですけど、
サトル!絶対ボヘミアンラプソディ観ただろ!そして感動しただろ!!
もうロシアとかいいから、QUEENのコピバンでもやれ!
なんかあの誘拐犯ほんとうにロシア人だったねとか、やっぱり海軍と陸軍仲悪かったのねとか、菊田そこで出てくるんかとか、あの三人の鶴見に向ける目線なんなんだよとかね…いろいろ考査するべき点はあるんでしょうけども。
私の頭の中は、We will Rock youでいっぱいだ。(フレディといえばこれしかパッとでてこない。むしろエーオッ!ってなんお曲なんだ。フレディの知識が”独身OLのすべて”のノブティーマーキュリーしかないのだ)
とにかくみんな無事でよかったねの、お決まりのウフフアハハで締めたあとの、尾形、おまえまた脱走したんか。
あの騎乗しながらの歓喜なポーズもフレディーがなんかの曲で高まった時に、ステージに膝ついてやるやつだよね。いや最初はGLAYのTERUかとも思ったけど。(あなたにぃ〜会えたこと〜)
それにしても朝から誌面に顔を近づけて推しの陰嚢を凝視させやがって…という気持ち悪い行動をとらざるを得ないあのひとコマ。
完全に階段やエスカレーターで前方にミニスカートのお姉ちゃんがいた時の行動だった。これは首を傾げれば見えるのでは?という不純な感情が湧き上がり、無意識のうちに首が傾いていくあれ。
しかも陰嚢の影を見せといてそのあと騎乗させるって、男性にとっては複雑な気持ちを抱く流れではないだろうか。
いや私は全然その気持ちわからないけど。でも痛いでしょ、あれは。もう脱走できた開放感でどうでもいいのか。そうか。
尾形はどうやら自分が的にされてる時に、手を広げて煽る習性があるらしいな。
そして「元気で戻ってこいよ。ぶっ殺してやるから」
サケの稚魚へかける言葉か。大きくなって脂の乗った成魚になったらぶっ殺しておいしくいただいてやるのか。
この杉元の尾形に対する執着心。憎しみというよりかは、むしろ自分が殺さねばならぬ相手としてロックオンしているように思える。
絶対にこの男だけは、自分が制裁をくださなければならない。それだけの理由を尾形は杉元に与えたわけだ。
リパさんの父親を殺し、リパさんに矢を向けさせるよう仕向け、自分の聖域とも呼べるような神聖化した相手を乏しめた男。
もうこれ、憎いとかそういう次元じゃない気がする。自分が、自分の持つ正義というもので息の根を止めねば気が済まなくなってる。
最近Twitterでもよく見かける、犯罪者に対する弾圧的なツイート。法の裁きを前に、自分が正しく思う鉄槌を振り落とさなければ気が済まない人達の心理に、少し似ているような気がする。
杉元は尾形が自分以外の誰かに、どうむごい殺され方をしたとしても、尾形に対する溜飲が下がることはないだろう。この手で、自分が尾形によって与えられた黒い感情で息の根を止めることこそが、リパさんに対する恩義でもある、とすら感じているのかもしれない。
そもそも杉元がそこまでリパさんを神格化のように扱っているのは、干し柿のくだりで、彼女こそが自分を戦場から帰還させてくれる唯一のトリガーでもあると思っているからだろう。
彼女がそのトリガーであり続けるには、不殺の信条を守り通す必要がある。彼女が杉元たち、戦争で敵兵を殺して兵士にとって、唯一の人の血で汚れていない人間であることが大事だと思う。それを侵害しようとした尾形は、杉元がとりもどしたくてたまらない日常を脅かす存在として認識されてしまった。
だから単純に尾形の死を願うだけではもの足りず、自分の手できちんと殺すことが杉元の生きるために進む道を切り開くと考えているのかもしれない。
この二人の関係性、人間の善悪の表裏一体と以前記したが、そんなものでは語れない何かがこの先もあるような気がしてきた。
正義の多様性を考えてしまう。果たして正義とは誰が決めたのか。人の心や経験や生きる土地、文化によって多様化されたものを、個人がひとくくりにして振りかざしていいものなのか。
ところで、布切れ一枚で外に飛び出してった尾形は正気じゃねぇな。レベル1の勇者より装備が薄い。
今週の尾形に向ける言葉。
次週『医者から服も剥ぐべきだった』
おたのしみに!
【5/30 17:00追記】
コメントのお返事
コメントありがとうございます。
その後読み返したらですね、ドアの向こうでドンパチやってるところで入れ替わったのでは?あ~なるほどガッテン!と思いまして。その周到さをあの三人がどんな思い出見つめていたのか。そしてあの三人がその後別々のルートで金塊に関わっているのが、これからの展開に期待を寄せるコマであること感じました。
ブログを書いた時点でそこに気が付けなかったのは、すべてモスフレディのせいですね(責任転嫁もいいところだ)
いつも読んでくださりありがとうございます。
毎回あほな感想ばかりですが、少しでもお楽しみいただければ幸いです。
199話「私のくるみを返してくれ」
朝食に大好きなくるみパンをかじっていた。片手にiPhone。アプリで本誌を読みながら。そしたらあの展開ですよ。
燃えるお兄さんさながらのぶっ飛び具合ですよ。
吹き出した。吹き出た、くるみが。飛んでったよ。私の大好きなくるみが(ちゃんと片付けました)
くるみはまあ、残念だと思うしか…。
いやもうくるみの話で150文字も使ってるんだけど、本誌の話をね、そう、モスパパがね、やっぱりああ、音之進のお父さんだなぁって。この親にしてこの子ありだなぁって。そんな気がしました。
というかあの誘拐犯、さんざん我々が月島、尾形、宇佐美じゃないかとか妄想してたけど、ガチのロシア人なんじゃね?
通話の最中、鯉登少年がうずくまったのは、賞味期限切れのあんぱんを食べたからではないかと、背中をさすってあげていたらあのザマっていう。
だから誘拐犯は、鯉登少年が父親に何を話しているのかもさっぱりわかってなかった。
あれ?もしかしてさっきの古いあんぱんに中ったんじゃね?吐きそう?吐くの?どれ、じゃあおじさんが少し手伝ってあげよう。
っていう、アンジャッシュのコントみたいなかけ違いがあったのかもしれない。それに気づいたもう一人の誘拐犯が、「なんでこいつ人質の背中さすりはじめてんだ?同情か?」と、ここでもまた推測の行き違いが生まれてたらおもしろい。
あの三輪バイク?に「瞬足」って名前つけていい?コーナーを駆け抜けろ!いやでもゴール前に大破しちゃったからだめか。
駆逐艦の前に三輪バイク?を大破させちゃったよ。
あのカーブのシーンで、弱ペダ民が「ひーめひめひめすきすきだいすきひめ」が脳内再生されてたことを私は知ってる。あの坂が箱根のアレに見えてるはずだ(弱ペダ見てない)
三輪バイク?大破しても服だけ飛び散った頑丈なモスパパ。
『ケイデンスは父性の証』
やかましいわ!!
たぶんこのあたりで市電に突っ込んだと思われるが、そこから徒歩で1時間はかかるが…。そこはモスパパの足の見せどころですね。
198話「不敵な三人組」
一話で話が濃い!
なので今回は前半、後半パート分けて書いていく。ちょっと頭を整理しながらじゃないと、寝起きの脳みそがバーストする。
【前半】
鯉登が船酔いする理由には、こんな重い過去があったのかとは、あの時誰も想像できまい。
正直、ボンボンのくせに船も乗ったことないのかよ。お父さん海軍じゃん?と思ったけど、いや、そこまでは思ってなかった。鯉登らしさで緩和するコマだと思ってた。
モスパパが杉元に話したことと、花沢パパに送った手紙の内容は、長男を日清戦争の海上で亡くしたことに起因していたのか。
息子の戦死を見届けねばならない心情は、計り知れない。
だがこれ、もしかしたら戦時下ではそう珍しいことではなかったのかもしれない。
二百三高地の乃木大尉もそうであったように。
軍人であれば、戦場で息子の死を目にしなければならないことも、少なからず覚悟はしていただろう。そんな覚悟を持ち合わせていなければいけないって、めちゃくちゃ酷だ。
誰も好き好んで自分の子供を死なせたくはない。だが、清濁併せ呑む、じゃないけど、前線に立つものの宿命なのか。自分の子かわいさに、他人の子供を前に出せなど言えない立場が生まれてしまう。戦争ってほんともう嫌になるね。
そりゃお父さんも「モス」しか言わなくなるわ(そうじゃない)
【後半】
問題児扱いされていた鯉登少年。
不敵な三人組に誘拐されてしまう。
これはもうみんなお察しでしょうが、鶴見中尉の偽装誘拐でしょう。
ここで前回、尾形が鯉登に銃を向けた際、なぜロシア語を口にしたのか。その答えがここにつながるのではないかと。
死に際(死ぬかわからんけど)に聞いた、自分に向けられた冷たく慈悲のないロシア語で、鯉登は思い出した・・・というのが、今回の回想シーンなのかな。
そして気になったのが鶴見中尉が「特務機関」の人間だということ。参謀本部付のロシア密偵任務を行っていた可能性がだいぶ高くなってきた・・ような気がする。個人的な考えだけど。スパイ活動を軍内のほとんどが良く思っていなかったこの時代に、密かに敵の情報を入手できる存在、それを許された人物というのは、かなり奇特だったのではないかと思える。
昭和に入って数年まで、スパイなんて卑怯で卑劣な行いだってされてきたからね。(のちに軍の反対を押し切り、陸軍中野学校というスパイ養成所が設立される)
日本軍の海軍と陸軍がどういう仲だったのかはよく知らないけど、共闘するような間柄ではなかったように思える。
「海軍にロシア語を話せっ者はおらんかったんか?」
この台詞で、海軍で起きた事は内々に済ませたいというモスパパの思いが伺える。
つまり、陸軍に借りをつくるようなことは避けたかったんじゃないかなって。海外任務の際、通信機の貸し借りすらしなかったってのも、何かで読んだことがある。
ここでの借りが、網走監獄での雷突貫作戦に繋がるかと思えば納得。
父親に見限られ、それを救ったのが鶴見中尉だったとすれば、あの盲信っぷりも理解できる。やっと。やっとあの鶴見にだけ発動する奇行の正体がわかるのか。長かったな。
全然関係ないけど、領事館のところの坂、めちゃくちゃきっつい。函館山ロープウェー乗り場に到着してからバスがあったと知った時の脱力感よ・・・。
でもその坂の途中にあるカフェのガトーショコラがすごくおいしいので、近くに寄った際はぜひ食べてほしい。店の名前?英語で読めなかったわ(あほか)
ちなみに函館要塞からの砲弾は、ロシア艦隊には届きませんでしたとさ。
197話「尾形モンペのワイ、久々に生気に満ちる」
おし、きたァー!!!(寝起きガッツポーズ)
やっぱただじゃ死なないこの男。尾形、こうでなくては。
ここまで一言も喋らなかったのは意識が混濁していたせいかとも思ったが、ピンピンしてやがったよ。なんであんな元気なんだよ。
ただこれ、杉元がリパさんのために自分を死なせないだろうと踏んでたってことか?それともただの悪運か。
杉元が生きている、近くにまできている。それを見越してのリパさんへの挑発。リパさんの不殺を守るために、杉元は必ずこの状況下で自分を助けるだろう。
こいつ、端から死ぬつもりなんて微塵もなかったのではないか。
窮地を逆転させるシナリオが、どこから尾形の中で描かれていたのか。
そしてやっぱりロシア語喋れたよ尾形。
ヴァシリに話を聞いてくるって言ってた時に、いやおまえロシア語わかんの?って、そこから尾形ロシア語ペラペラ説が生まれた(実際に頬ぶち抜いて喋らせる気があったのか?って感じだったけど)
ロシア語ペラペラ説が確定された今、じゃあ尾形はどこでロシア語を学んだのか。
士官学校にも通っていなかった尾形が学をつけるには、月島同様、独学で習得するしかなかったのかと思える。
自分から?それとも誰かの差し金か?
この流れだと、尾形はただ私怨で同行し、口を割ったら用済みになるのを恐れて脱走を図ったと見えるが、ロシア語を習得しているということは、自分の存在価値を確認するためだけとは思えなくなってきた。
前に尾形、中央のスパイ説も浮かんだが、この時代にまだスパイを養成する機関はない。鶴見がスパイとしてロシアに渡っていたのは、年齢からして個人的な依頼ではないかと私は思う。
当時、スパイ活動は参謀本部が行っていた。しかしそれとて、優れたスパイを育成するだけの人材も教育もほとんどなかったように思える。(陸軍中野学校ができたのは昭和のはじめ頃なので)
では参謀本部からスパイを出すには、それ相応の適正があると思われる人物に他国語を仕込むなど、その程度だろう。
つまり中央は尾形の素質に目をつけたのかもしれない。人を殺すことに罪悪感のない人間。非常であればあるほど、スパイには向いているだろう。長く行動を共にしても情に囚われない。いざとなったら裏切ることを躊躇わない人間。
長い間ブログタイトルにしてきた「尾形、おまえ何がしたいんや」は、ふりだしに戻ったが、新たなマスが浮かんできたように思える。尾形の目的についての可能性。
そしてこの男、ほんとタフで誰の、もちろん読者からの同情さえも踏みにじる行為。どこまでも「何かが欠けた人間」として生きることに執着しているのか。その生命力というか、己の生存本能に忠実な部分に、久しぶりに私の生気が回復した気がした。
「おまえのような人間が、生きてていいはずがない」(だったかな)は、自分に向けての言葉なのかもしれない。
そう、生きてていいはずがないのは、一般的に見れば尾形のような非情で非道な人間だろう。だが彼は生きる。
身内を殺しても他人を殺しても、欺いても生きる。
右目と銃を失っても、丸腰の手術台の上からその残忍さを持って復活を遂げた。
あのリネン?を纏った姿で立つ尾形の後ろ姿にキリストみを感じた。キリストの話とか全然知らんけど。
天に召されることを拒んで、堕ちた、八端十字架のあれ。地に堕ちて復活した。
まあそういう宗教的な話は詳しくないんで置いといて。
尾形は杉元のことを病床でどう思っていたんだろうな。やはりこの男の単純な思考は利用できる。そう思っていたのだろうか。
てか鯉登、めっちゃピンチやん。
鯉登女兄弟が上に二人いそうとか思ってたけど、まさか兄ちゃんだったとはな。だからこそ勇作の死に背くような行動をとった(実際は尾形が殺したんだけど)尾形を余計憎むのか。
でもすぐには撃たないってことは、尾形は鯉登の忠誠心を揺さぶるような事実を話すのか。
鹿児島の名物、ほかにもなんかあったでしょうよ…。
196話「尾形、どうなってしまうんだ」
近所にモスがあるので明日の昼食はモスにしよう。
そんなことはどうでもいいんだが、尾形すっかり唇まで干からびちゃって。干し芋みたいな唇になっちゃってさ。
いやそれにしても。
尾形の命あってこそリパさんは罪を抱えなくていいのはわかるんだが、もう尾形の人生なんだったんだってなるじゃん?
本誌連載が休みの間に新刊を読んで杉元と尾形のリパさんに対する描写が真逆なことに気づいたんだよ。まあしたらばの受け売りなんだけどな。
それで杉元と尾形は人間の善と悪の対比のような存在なんじゃないかと思ったのよ。
人間には善も悪も備わってる。善だけじゃ人は生きづらい。だから悪の部分があっても、それを咎めることはしなくていい。両方持ち合わせてこその人間であり、それをどう使うか、表に出していい時なのかそうでないのかを精査できるのが人間の理性なんだと。そういう象徴であると思った。
でもさ、もう尾形の役割って一個人のエゴで命を決められてるような状況じゃない?今。
人間ってこの世に生を受けることに関して、自分の意思が一切関与できないエグいものだと思う。
勝手に生まれ落ちて、その先を選べなくて、生まれ落ちた先で人生が決まってしまう人だっている。
そういう博打に強制参加させられて、その先の命の采配さえも他人のエゴに任されてしまっている、尾形は今。
まあ尾形がやったことを考えれば当然かもしれない。けどそうなってしまった状況を生んだのは、出自が少なくとも関わっているのではないか。
尾形は不殺の信条の当て馬なのか。
この先尾形が助かって喋ることができて、そこで何を話すのか。聴き終えたらもう尾形の命の価値はなくなってしまうよな。
不遇すぎるな、どこまでも。この男は。
またもや人生って、救いがねぇなあと思ってしまった。
尾形に肩入れしてるからこんなことを思ってしまうんだろうけど。サトルは尾形をどういう立ち位置にしたいんだろうか。
鶴見中尉が動き出したし、尾形も引き渡されてジ・エンドなのか。この漫画での尾形の役割はなんだったのだろうか。「天から役目なしに下ろされたものはない」がこの漫画のテーマなら、尾形の役割はなんだったんだろうか。自分の価値や考えを確かめるために殺してばかりきた男の役目とは・・・。
銃が海水に落ちた時点で役目は終わったってことを意味してたのかな。それとも役目のない人間もいるって意味にされるのだろうか。うーん、そしたらやっぱ人生ってクソだなと思ってしまうわ。
まあ尾形がロクでもない死に方するのは覚悟してるけど。
誰にも愛されず、救われずに終わる。
現実とリンクしてしまってとてもつらい。
明日モスで豪遊しよ。