198話「不敵な三人組」
一話で話が濃い!
なので今回は前半、後半パート分けて書いていく。ちょっと頭を整理しながらじゃないと、寝起きの脳みそがバーストする。
【前半】
鯉登が船酔いする理由には、こんな重い過去があったのかとは、あの時誰も想像できまい。
正直、ボンボンのくせに船も乗ったことないのかよ。お父さん海軍じゃん?と思ったけど、いや、そこまでは思ってなかった。鯉登らしさで緩和するコマだと思ってた。
モスパパが杉元に話したことと、花沢パパに送った手紙の内容は、長男を日清戦争の海上で亡くしたことに起因していたのか。
息子の戦死を見届けねばならない心情は、計り知れない。
だがこれ、もしかしたら戦時下ではそう珍しいことではなかったのかもしれない。
二百三高地の乃木大尉もそうであったように。
軍人であれば、戦場で息子の死を目にしなければならないことも、少なからず覚悟はしていただろう。そんな覚悟を持ち合わせていなければいけないって、めちゃくちゃ酷だ。
誰も好き好んで自分の子供を死なせたくはない。だが、清濁併せ呑む、じゃないけど、前線に立つものの宿命なのか。自分の子かわいさに、他人の子供を前に出せなど言えない立場が生まれてしまう。戦争ってほんともう嫌になるね。
そりゃお父さんも「モス」しか言わなくなるわ(そうじゃない)
【後半】
問題児扱いされていた鯉登少年。
不敵な三人組に誘拐されてしまう。
これはもうみんなお察しでしょうが、鶴見中尉の偽装誘拐でしょう。
ここで前回、尾形が鯉登に銃を向けた際、なぜロシア語を口にしたのか。その答えがここにつながるのではないかと。
死に際(死ぬかわからんけど)に聞いた、自分に向けられた冷たく慈悲のないロシア語で、鯉登は思い出した・・・というのが、今回の回想シーンなのかな。
そして気になったのが鶴見中尉が「特務機関」の人間だということ。参謀本部付のロシア密偵任務を行っていた可能性がだいぶ高くなってきた・・ような気がする。個人的な考えだけど。スパイ活動を軍内のほとんどが良く思っていなかったこの時代に、密かに敵の情報を入手できる存在、それを許された人物というのは、かなり奇特だったのではないかと思える。
昭和に入って数年まで、スパイなんて卑怯で卑劣な行いだってされてきたからね。(のちに軍の反対を押し切り、陸軍中野学校というスパイ養成所が設立される)
日本軍の海軍と陸軍がどういう仲だったのかはよく知らないけど、共闘するような間柄ではなかったように思える。
「海軍にロシア語を話せっ者はおらんかったんか?」
この台詞で、海軍で起きた事は内々に済ませたいというモスパパの思いが伺える。
つまり、陸軍に借りをつくるようなことは避けたかったんじゃないかなって。海外任務の際、通信機の貸し借りすらしなかったってのも、何かで読んだことがある。
ここでの借りが、網走監獄での雷突貫作戦に繋がるかと思えば納得。
父親に見限られ、それを救ったのが鶴見中尉だったとすれば、あの盲信っぷりも理解できる。やっと。やっとあの鶴見にだけ発動する奇行の正体がわかるのか。長かったな。
全然関係ないけど、領事館のところの坂、めちゃくちゃきっつい。函館山ロープウェー乗り場に到着してからバスがあったと知った時の脱力感よ・・・。
でもその坂の途中にあるカフェのガトーショコラがすごくおいしいので、近くに寄った際はぜひ食べてほしい。店の名前?英語で読めなかったわ(あほか)
ちなみに函館要塞からの砲弾は、ロシア艦隊には届きませんでしたとさ。